警戒区域から追われし者の日常生活
2012-05-20


今深夜だ。
のびのび(愛猫)が寝息を立てている。
とりあえず安心だ。

避難(原発事故による避難指示で)で福島にいたような普通の生活はできないと、猫ながら(だから)判っているんだろうか、我々家族と一緒に手狭な生活環境の不便に耐えて気丈に日々生きている。

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でもこんな生活は普通じゃない。まったくもって普通じゃない。
東電に、東電の原発事故のおかげで家をオン出され、仕事・生甲斐を奪われ帰れないんだから。
普通じゃない。

奴等の起こした原発事故で不便な避難生活を強いられているんだから
食事ぐらい出せと言いたい。
自腹を切らせて何食わぬ顔だ。
電気作ってるのに電気代まで支払わせる始末だ。
普通じゃない。

東電はオン出して我々の人生、猫生をめちゃくちゃにしておきながら相変わらずお代官様顔だ。判りづらく頭を悩まし苦労して作って送った賠償請求書に対して、これはだめですっていう診断書を突きつける。金が欲しけりゃ頭を下げろ、無駄な金は使うなと言いたげだ。いや言っているようなもんだ。
猫(体調不良治療費)に出せる金なんかねーとまで言って来た。猫だって同じ命だ、避難させられてるんだ!

禺画像]

「生活はだいじょうぶですか?体のほうは大丈夫ですか?何か足りないもの、不便はないですか?」なんていう気遣いはまったくない。事務的に申し訳程度(にもならないが)の賠償を行って、もうほったらかしだ。

「大変なご迷惑をおかけしております。」っていう決まり文句を並べるだけだ。古紙・新聞回収の拡声器じゃあるまいし。

もしのびのびが警戒区域から生きて保護されて神奈川に避難できていなかったらって想像するだけでたまらない気持ちになる。福島の自宅でらくらく(愛猫)のようにもう息をしなくなっていたらって考えたら・・・いたたまれなくなる。探しに行って連れて来ることができて本当に良かったと思っている。

大切ならくらくを失い、大事な釣友を失い、家族が生死を分ける緊急手術をし、家を、故郷を、ささやかな未来を失い・・・これ以上
失いたくない。

多くの避難住民が同じ思いをしながら全国に家族、友人、親戚、お隣さんがちりじりばらばらになりながらも毎日毎日生活している。日々踏ん張っている。皆健康で家に帰還したいと思っている。悲しいかな避難のハイインパクトで寿命を縮められた方々が沢山いる。

そして放射能汚染の不安に怯え、帰宅困難の現実を突きつけられている。いろんな決断を迫られている。

加害者は澄まし顔、政府は最早他人事だ。
大した問題も起こってないし、避難住民はどこかで食って生きていられるならいいだろうと思っている。
理不尽な世界だ。

直接的な被害を受けていなければわからないし、実感できない。
無理も無い、自分も避難している現実を忘れそうになるくらいだから。
皆人生の激変に戸惑い、被害者という現実に付いて行けていないのだから。

でも同じ思いはもうして欲しくない。福島以外ではもう。
たとえ千年に一度の大震災や悪魔の原発事故に遭遇しても、今の日本では自分が同じ目に遭わなければ学ぼうとしないのかも知れないが・・・。

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残念だがこれが日常だ、今の。

福島のあの日の日常に帰してもらいたい。
できなければそれなりの補償をきちんとしてもらいたい。
すべきだ。
禺画像]

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